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広島の建築家、江口希之です。創業28周年になりました! 広島市中区大手町1丁目4-24  082-247-2437


by kishi-e

図面と施工費用

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今日も、300枚以上の図面と格闘した。

あるビルの、実施設計図面で、建築、構造、設備図面だ。



いい建物を造るためには、図面枚数は多くなる。
まあ、当たり前のことだ。



しかし、図面枚数が少ないほど、施工費用は安くなる。

我々設計事務所の報酬も、安くなる!



しかし、決していい建物はできない。

つまり、手間をかけない、やっつけ仕事になる!


難解な仕事をしないと、素晴らしい造形なんか、できるわけない!

そして、いい建物を造ろうとしても、図面枚数が少ないと、現場で非常に苦労する。



挙げ句、追加工事になり費用がかかる!

また、工事監理回数が少ないと、いい建物はできない。



逆に、図面枚数が多く、工事監理回数も多いと、いい建物ができる。

しかし、施工費用も設計監理の報酬も高くなる。


職人さんも工務店も、恐れてしまうからだ。

やりなれないことは、やりたくないのだ。



つまり、2つの選択肢市がある。

安くて品質の悪い建物を造るのがいいか、そこそこ高いけど、品質のいい建物がいいか…?



これが、問題だ。



報酬を払うお客さんは、どちらをとるか、よく考えないといけない。



たとえば、不動産業者やハウスメーカーが施主の場合、設計監理報酬はとにかく安い!

だから、安くて品質の悪い建物になる!



特に建て売り住宅は、設計事務所の設計報酬は、昔からムチャクチャ安い。

だから工事監理も、ほとんどしない。



ということは、完成した建物のレベルは、想像できる。

つまり、いい建物を造るために必要な、正当な設計報酬というものが、世の中にはある。



それは、不動産業者やハウスメーカーの出す報酬の、倍以上であることは、間違いない。



早く、この間違いを正さないと、日本の大多数の家は、いつまでもレベルアップしないままになる。

しかし、安いが一番のお客さんもいることは、紛れもない事実だ。



江口希之
by kishi-e | 2009-02-09 20:15 | 建築